自然と農業 78号
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2015/08/10(Mon)
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大手資本の進出により
安心に取引ができる現実 運動論では“ メシ” が食えないとは生産者の言葉。風の便りによると産直業者の最近の動きに対し、農経学者が批判の声を上げたと……。平たく言えば、大手企業に“ 城” を明け渡したと。その真意は別として風の便りが真実であれば農経学者の頭の中は???である。なぜわが流通業界に大手資本が入ってはいけないのか、これまた不思議である。裾野が広がることは良いことであるはずだが、凡人の考えであろうか。有機農業を営む生産者からよく耳にすることは、大手資本が入ることにより取引が安心して行えると。ただでさえ伸び悩んでいる有機商品にあって歓迎すべきことだとも。厳しい環境下、生産者の言葉の持つ意味は大きい。コーデックス委員会の基本理念である「貿易の円滑な流通」と「万人により安心・安全な食を提供する」と謳われている現実。一部特定の人のための発想は貴族的と言わざるを得ない。当たり前が当たり前でなくなったならば、その産業は伸びない。資本の論理を全面的に否定する論拠はどこにあるのか、編集子にはわからない。 <目次> ・平成26年度環境保全型農業直接支援対策の実施状況を発表 実施件数はさらに増加するも、有機農業は微減 ・施設内ではバンカーによる天敵活用、屋外ではケイ酸による病害対策が有効 (独)農研機構・有機農業体系プロジェクト技術研究会より ・港や周辺の道で実の落ちこぼれは確認されるも生育した個体は発見されず 〜農水省「平成26 年度トウモロコシ生育等実態調査」から〜 ・参加者に地域農業農業支える意識、課題は前払い方式への生産者側の躊躇 第3 回CSA研究会より ・有機JAS認定圃場面積は微増傾向 平成26年度「食料・農業・農村白書」 ・各種メニューにおける人気野菜について順位・品種等を発表 タキイ種苗㈱ 最新アンケート調査より増中 ・「国際養鶏養豚総合展2015」にてオーガニックエッグ・チキンの認証プロセスを紹介 NPO 日本オーガニック農産物協会 ・自休 大手資本の進出により安心して取引できる現実 ・ナカツカカナのオーガニックコラム13 中塚華奈 ・生産者を訪ねて 「生命あるものの流れに沿って」家族3 人で営む循環型農業 みやもと山 ・消費者との接点・小売りはこう見る 「売る」から「伝える」で、オーガニック消費のすそ野広げる ㈲小沢青果「新鮮組」 ・在来品種を巡る 根も茎も葉も赤い北海道の赤カブ 大野紅カブ ・Think about organic movements 高付加価値野菜の基準・認定制度/ベジタリアン食品市場の新たなトレンド/ロシア政府、「遺伝子組み換え食品禁止法案」を承認 ・海外の話題 ・国内ニュース ・編集部おすすめ Book & Movie ・8 月・9 月・10 月のイベントのお知らせ ・資材等の仕入案内 ・編集後記 |
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自然と農業 77号
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2015/05/12(Tue)
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スウェーデンのスーパーの先進性に驚き
日本はいつの日か、期待を持ち次の企画へ 弊社主催による「ヨーロッパオーガニック食品等事情視察」は、ドイツ・ニュルンベルクで毎年2 月に開催される「BioFach2015」を視察した。展示会の中でとくに注目されたものは「ビバレジ」すなわち菜食主義者+αのものであった。ビバレジ人口は年々増える傾向にあるといわれ、専門誌の発行等独自の食文化が形成されつつあるようだ。わが国ではあまり耳慣れない言葉であるが、言葉の響き、健康に良さそうといったオーガニック、Bio、有機にない何かを感じたのは編集子だけだったのかもしれない。ビバレジ文化が日本に上陸するのもそんなに遠い日ではないような感すら見受けられた。ドイツを後にして、フィンランドの首都ヘルシンキ市内のBio スーパー等を視察し、最後の訪問国スウェーデンへ。数年前に同ツアーでスウェーデンの認証機関KRAV およびグリンコープ等を訪問したことが脳裏をかすめたものの「ノーベル賞」の国スウェーデンのイメージが先行し、当日の視察内容をなかなか思い出せなかったのが実情であった。しかし今回は、現地側の厚意により中小スーパー6 か所を視察先として用意され、どのスーパーにもBio 商品があり、生協のみがBio を扱っていると思っていた先入観を打破。小スーパーでも全商品の70%はBio もので、慣行ものと逆になっていた。いつの日かわが国でもこのような状況になることを期待しつつスウェーデンを後にした。驚きの旅となり今後に期待できる(わが国でも?)ことを信じ、次の企画へと頭を使い出した今日この頃である。 <目次> ・新たな「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定 有機農産物は生産拡大を推進 ・有機表示と機能性表示が並ぶと価値は倍以上 市場拡大の一大チャンス到来 ・踊り場に差し掛かった欧州オーガニックマーケット ビーガンフードは救世主になれるか? ・「とことんオーガニックシンポジウム2015」速報 オーガニックマーケットの活性化に向け生・販・消の各視点から議論を展開 ・先進国農政の重要な政策概念「レファランスレベル」に高い関心 ・アジアの風土に学ぶ有機農業・在来種・食文化 ~ブータン王立大学のレカ先生を囲んで~ ・平成26年度環境保全型農業推進コンクール ・近年急増中の『都市型マルシェ』最前線レポート 「太陽のマルシェ」「アースデイ東京2015」「オーガニックマーケットAOZORA」 ・「大地を守る会東京集会」開催 オーガニックフェスタも賑わう ・自休 スウェーデンのスーパーの先進性に驚き 日本はいつの日か、期待を持ち次の企画へ ・ナカツカカナのオーガニックコラム(12) オーガニック食品のよもやま話(3) 中塚華奈 ・生産者を訪ねて 植物残さオンリーの自家堆肥による健全な土作りと健康な苗作り あした有機農園 ・消費者との接点・小売りはこう見る 新たな視点の下で自然の「美味さ」を伝える 有機・自然農産物生産者直売所 ビオファ ・在来品種を巡る 八戸で親しまれている在来種 糠塚キュウリ ・Think about organic movements 日加間の有機同等性取り決め発効/EU・韓国も有機食品認証同等性で合意 ・海外の話題 ・国内ニュース ・編集部おすすめ Book&Movie ・5月・6月・7月のイベントのお知らせ ・資材等の仕入案内 |
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自然と農業 76号
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2015/02/14(Sat)
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ラオスに根をはらそうとするが思うようにはいかない現実
前月号(No.75)で紹介したラオスでの有機大豆生産(飼料用)は当初の計画数量よりも少なく、大変な苦労の連続だという。地元の農民を信じ必要面積を契約し、無償で大豆の種子を渡し地元行政府の協力を得て契約を結び第1 段階を終了し、これでひと安心と思い日本に帰国したところ現地の駐在員事務所から連絡が入り、実際に作付できる面積は予定を大幅に下回るという。有機JAS の認定を取得するために正確な圃場面積を出すために行政府の協力を得て、GPS による測量を実施し、圃場面積を出しさらには2 年前から肥料管理を行い指導してきたものの農民は契約書も大豆の種子をもらったことも忘れたように「大豆を作ったこともないので収穫できなかったら誰が保障するのか……」といった契約以前の問題が生じると頭を抱える。農民達は中国人、ベトナム人、タイ人から過去相当な被害を受けその一例として農産物の収穫時になると価格を下げるように契約内容を無視した商行為が一般的に行われてきた結果、よそ者に対しての不信感が強いという。日本人も同じように解釈された結果が今回のような問題になったと……。日本側の購入者は「その様な結果になろうとわれわれは契約を守り、地に足のついた活動をする」と。良い芽が出てくることを祈りたいもの。 -目次- 〈特集〉 農林水産省 平成27年度予算概算決定 青果流通の高度化に10 億円新投入も農村再生事業等は大幅減 先日決定した農水省の27年度予算概算の中から、環境保全型農業に関係の深い事業を抜粋し、その概要と充てられた予算額を前年度比付きで紹介します。 ─ 参加者保証システム(PGS)の仕組みと現状 ─ 第三者認証よりハードル低いが品質保証能力の十分な吟味を ― 有機農業に関する講演・シンポジウムより ― 「緑肥等による土づくりで土質が変わり歩留まりも向上」 ―有機農業研究者会議2014 「SNSを利用した交流等による有機の広がり等の例を紹介」 ―第15 回有機農業公開セミナー 「鶏舎の臭気が消え苗が育ち、稲の根の成長にも有意差」 ―第24 回BMW 技術全国交流会 「スギエキスの植物活性剤で野菜の代謝が高まり収量増」 ―第37回ネッカリッチ研修会 ―ビオファジャパン オーガニックEXPO2014― 国内唯一のオーガニック専門展示会 マルシェも加わりさらに盛大に 〈連載〉 自休 ラオスに根をはらそうとするが思うようにはいかない現実 ― 生産者を訪ねて ― 地球の味がする野菜でおいしさと健康を届けたい 陽子ファーム ― 消費者との接点・小売りはこう見る ― 地元顧客への密着サービスで有機の魅力を伝える 自然食糧品店 グルッペ ― ナカツカカナのオーガニックコラム11 ― オーガニック食品の輸出入よもやま話② 中塚華奈 ― Think about organic movements ― GMOの指令改正案成立見通し/農産品販売促進のためプログラム承認?EU ― 在来品種を巡る ― 沖縄独特の細長いラッキョウ 島ラッキョウ ― 有機食品の話題 ― イギリス:オーガニック市場は引き続き好調/イギリス:オーガニック製品の価格競争が勃発?/EU:遺伝子組み換え作物を独自に禁止する法案が可決 海外の話題 国内ニュース 編集部おすすめ Book & Movie 2 月・3 月・4 月のイベントのお知らせ |
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