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オランダで進むIPM技術
2007/11/26(Mon)
天敵利用によるバイオロジカルシステム農業主流に

 日本でも話題の総合的病害虫・雑草管理(Integrated Pest Management)、通称IPMは、化学農薬だけでなく、様々な防除技術を組み合わせ、経済的に被害が出ない程度に、病害虫や雑草の発生を抑制しようとするもの。
 IPMは、化学農薬のみに依存した病害虫・雑草防除から脱却し、安全な農作物を安定生産することと、環境に対する負荷を軽減し、持続可能な農業生産を行っていくことを両立するために必要な考え方で、環境保全型農業を実践する上では欠かせない知識といえる。
今回訪問した、オランダのコッパート社(Koppert)は、日本でも話題になったセイヨウマルハナバチなど、昆虫を利用したIPM技術を開発した会社である。コッパート社の創業者はもともとキュウリの農家出身で、自身が農薬を使っていたことにより体調を崩してしまった。農薬を使わずに済ますために、昆虫と昆虫の関係を観察し始めたことが天敵を利用するアイディアの発端になったという。
 天敵を利用した害虫防除法はオランダでも非常にポピュラーで、農薬を低減して市場での評価を高めたい農家は多くがこの手法を取り入れている。
 もちろんこうした天敵を導入することには、トマトを栽培しているビニールハウスで活躍していたセイヨウマルハナバチが、特定外来生物の指定を受け現在使用禁止になったように、問題を含んでいないわけではないが、導入の効果として、残留農薬の心配がなくなることで、食品として出す場合にも安全性が高まることはもちろんのこと、生産段階での安全性を高めることも同時に可能なこと、また天敵生物なので、薬剤抵抗性発達の心配がないこと、放飼の処理が簡単で、労力の軽減がはかれることなど、多くの利点も挙げられる。
 同社終了後に訪れたピーマンとランの農家では、ハダニ、コナジラミに対する天敵生物を用いて、害虫の防除を行っていた。
 使用されていた天敵は、害虫であるコナジラミ類に寄生し、それらを淘汰する。ハダニ、コナジラミ類の発生極初期に使用することで、もっとも経済的に長期間密度を抑制することができるということだった。
 またIPMの技術としては、併せてフェロモントラップを使用していた。
(続きは46号に掲載)
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