自然と農業60号
2011/02/16(Wed)
9月開催のIFOAM世界大会慎重に。口蹄疫、鳥インフルエンザ汚染国での開催は何を意味する
 天然記念物の渡り鳥から強毒株の鳥インフルエンザが検出され、環境庁、農水省はその対策に苦慮し手の打ちようが無いといった状態。九州の口蹄疫が収まったら次は鳥インフルエンザの発生、生きものの恐ろしさを嫌というほど味わい、2011年を迎えた。隣国韓国では口蹄疫の万円と鳥インフルエンザの発生が同時に進行、しかも弱毒・強毒が平行発生を見る等、韓国政府はその対策に追われている。一方、今年9月28日から10月4日の4日間、韓国京幾道(キョンギド)南陽州(ナムヤンジュ)八堂(パルダン)地域においてIFOAM(国際有機農民連盟 本部・ドイツ)の有機世界大会が(OWC)が開催され、全世界の有機関係者が集う。OWCは韓国政府と韓国の有機農業団体の積極的な誘致が実った大会だけに関係者にとっては待ちどおしい大会であり、韓国、日本、中国の人的交流が行われる。しかし9月は口蹄疫、鳥インフルエンザとも発生する時期に入るだけに早くも畜産関係者の間には口蹄疫、鳥インフルエンザ発生国での開催について危惧する空気がある。この時期に韓国、中国で口蹄疫、鳥インフルエンザの発生がなければ安心であるが、2010年のような事態を迎えたならば、わが国の畜産を守るためにも、なんらかの規制措置を取る必要が出てくる。養鶏界では過去鳥インフルエンザの発生に伴い国際養鶏養豚展を中止した経緯がある。主催国である韓国側の事務局へ昨年5月に取材した限りでは韓国、中国、日本の有機生産者をトライアングル形式で相互訪問すると言われ、とくに日本への希望者は多いという。日本の中でも西日本地区が核になるとも言われ、畜産生産者への心理的負担は大きい。渡り鳥ならぬ人による伝播も十分に考えられるだけに問題は深刻だ。当然種の絶滅も考えられる。人間へ自然の大切さを教えたコウノトリへの影響も計り知れない。自然界の流れによって疾病の発生をみたならば、それなりにあきらめはつくが、人による伝播となると問題は残る。有機農業の世界の祭典が、初めてアジアで開かれる(日本では一度もない)ことは韓国政府・韓国有機農業関係者に敬意を表するものであると同時に、汚染国での開催だけに問題は深刻である。企業の中には鳥インフルエンザ汚染国へ出張に行ったならば1週間の出社停止策を講じているところもあるだけに…。農水省、環境省、経済産業省、文化庁は今からでも韓国政府と協議に入るべきである。問題が発生してからでは遅い。また、IFOAMならびに韓国のIFOAM世界大会事務局、IFOAMジャパン等関係機関とも連絡を密に取り善後策を協議すべきだ。
 積み上げてきた貴重な財産を目に見えないウイルスの餌食にされないためにも慎重な対応が求められる。空港での消毒等いろいろな対策を講じることは可能であるが、完全とはいかない。種の絶滅の危機は農産物だけではない、生き物全般に言えることである。韓国、日本とも口蹄疫・鳥インフルエンザに生物界全体が脅えている。重要な世界大会であるが、人の命を守ると同じくらいに生き物の命を守ることを強く訴えることは愚かなことであろうか。人だからこそ生き物からリスクを軽減する措置を講じることができる。有機関係者に呼びかけたい。生き物の疾病に対して真正面から見つめて欲しい。家畜の命を守り一時的措置を講じ助けることのできるのは“人”しかいない。
 残念なことだが……。現在、わが国では宮崎県の口蹄疫が収束し、大変な数の牛、豚が“家畜伝染病予防”のためにこの世から消えた。また島根、九州で発生した鳥インフルエンザによって数百万羽の鶏がこの世から消え去ろうとしている。現に80数万羽の鶏が殺処分された。また渡り鳥が斃死し、ウイルスを日本全国に空から撒散している。天然記念物のマナヅル等は捕鳥し殺処分することができず、畜産生産者にとって、空からの贈り物になすすべが無い。今回の鳥インフルエンザ発生について京都産業大学大槻教授(わが国鳥インフルエンザの権威者)は、渡り鳥か人を介して拡散したという。関係諸氏に再度訴えたい。注後半端な防御ではウイルスを拡散し、手の打ちようが無くなることを。


目次
〈特集〉
・日本とオーストラリア 有機認証、認識の違いを探る(前編)
 ニコルス明子
・純国産飼料米で有機畜産を再構築
 (有)共栄ファーム
・有機JAS規格見直し 原案作成、パブリックコメント募集へ
 (独)農林水産消費安全技術センター

〈生産者訪問〉
・地域で面的に有機農業を展開
 農事組合法人さんぶ野菜ネットワーク

〈有機農業の普及と対策〉
・JAS規格法違反
 農林水産省 消費・安全局 表示・規格課 食品表示・規格監視室
・環境保全型農業直接支援対策に48億700万円
 農林水産省
・親環境農産物の割合を2015年までに12%まで拡大
 鄭万哲
・世界的集団としてBMW技術を伝える
 第20回BMW技術全国交流会実行委員会
・1000年先を見越した政策を
 NPO法人日本有機農業研究会
・環境保全型農業を取り巻く課題について議論
 全国環境保全型農業推進会議
 (財)日本土壌協会
・アニマルウェルフェアの考え方に対応した乳用牛の飼養管理指針(前編)

自休 9月開催のIFOAM世界大会慎重に
〈地産地消の拠点〉
・生産から販売まで手掛け、安心・安全でおいしい商品を提供する
 (有)中井農産センター 他
〈消費者との接点 小売はこう見る〉
・扱う農産物の約9割は有機JAS、自然農法農産物
 ベジタガーデン高田馬場店
・在来品種を巡る ウコギ
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